夕食を作り終えるころには、もう何も考えたくない。以前の私は、食事を用意するだけで毎日ぐったりしていました。
料理そのものが、それほど嫌いだったわけではありません。それなのに、なぜこんなに疲れるのだろう。
考えてみると、私がしていたのは調理だけではありませんでした。
- 家族の好み
- 体格や健康面で気をつけたいこと
- 夫のお弁当
- 息子が家にいる日の昼食
- 自分ひとりの昼食
- 冷蔵庫に残っているもの
- 昨日は何を食べたか
「今週は何を食べよう」という問いの中で、いくつもの条件を毎日組み合わせていました。
わが家は3人家族です。
夫には、医師から受けている食事上の指示を前提に、塩分などへ配慮したい条件があります。19歳の息子は痩せ気味で、食べ応えのある料理が好きです。私は、体重を落とさず食事量を整えながら、美容面も意識したいと考えていました。
献立を考えるのが疲れるのは、料理名が思いつかないからだけではありません。
条件の違う食事を、毎日、一から組み合わせ直していたからでした。
私が減らしたかったのは、料理そのものではありません。毎週、同じ条件を思い出し、考え直すことでした。
この仕組みができたのは、4か月前です。それから今朝まで、その日の献立が毎日届いています。
最初にしたのは、献立を考えることではありませんでした。
01 最初に渡したのは、献立ルールではなく「家族の状況」
最初から、「夫のお弁当はこの量にする」「私の昼食にはアボカドを取り入れる」「この曜日はスパイスを使う」といったルールを、すべて自分で考えたわけではありません。
AIに最初に伝えたのは、もっと手前にある家族の状況でした。
- 家族構成と年齢
- 体格や食事量
- 健康面で配慮したいこと
- 好きなもの、苦手なもの
- お弁当の有無
- 家にいる曜日
- 食生活で困っていること
- 今後どうしていきたいか
こうした事実を伝え、「この家族なら、毎日の食事をどのように組み立てると無理なく続けられそうか」をAIに相談しました。
最初の指示は、難しいものでなくても大丈夫です。
わが家の食生活を一緒に整理したいです。
これから家族構成、体格、食事で気をつけたいこと、好き嫌い、生活パターン、今後どうしたいかを伝えます。
まず内容を整理してください。
献立を考えるために不足している情報があれば、必要なことだけ質問してください。
情報が揃ったら、家族それぞれについて食事で意識するとよさそうなことを整理し、「わが家の献立ルール」の案を作ってください。
最終的な内容は、私と確認しながら決めたいです。
完璧なプロンプトを、最初から用意する必要はありません。AIと話しながら、家庭の条件そのものを整理していきます。
02 家族の事実を、毎週使えるルールに変える
AIとの対話を重ねるうちに、わが家では次のような献立ルールができました。
- 夫平日はお弁当。量の目安を決め、食事上の条件に配慮する
- 妻ひとりで食べる昼食でも、エネルギーと栄養を補いやすくする
- 息子食べられる魚と、使わない食材を明確にする
- 家族全体決まった曜日は、スパイス料理も候補に入れる
夫と息子の昼食も、すべてを別々に作るわけではありません。
同じ鶏むね肉と副菜を使い、最後の味付けだけを分ける。夫の分は食事上の条件に配慮し、息子の分にはスパイスを加えて食べ応えを出す。
共通にできる部分は共通にし、条件が合わない部分だけを変える。
この考え方も、AIとの対話から生まれました。
AIに渡したのは、完成した答えではありません。家族についての事実を渡し、AIとの対話を通して、毎週使える判断基準に整理した。ここが、最初の設計でした。
03 AIの提案を、そのまま正解にしない
AIが提案したものを、すべて正解として採用するわけではありません。
「これは続けられそう」「この食材なら取り入れやすい」「この方法は、わが家には合わない」と、一度自分で確認します。
私の場合は、食事量が落ちていた時期に提案された食材やメニューを、平日の昼食へ少しずつ取り入れました。
食事全体を見直す中で、落ちかけていた体重は戻り、現在はその状態を維持しています。AIの提案だけが理由とは言えませんが、何をどのように食事へ加えるか、選択肢を整理する助けにはなりました。
わが家では、家族の情報を細かく伝え、ルールを作ってから献立へ進んだため、現在は1週間分の献立を大きく修正せず使えることがほとんどです。
栄養量の数値や健康面の説明まで、AIが常に正しいとは限りません。健康に関わる判断まで、AIに任せるわけではありません。医師から受けている指示を優先し、AIには条件整理と献立候補を任せる。最後に確認し、決めるのは人です。
04 一度決めた条件は、毎週説明しない
AIに献立を考えてもらい始めたのは、約半年前です。試行錯誤を重ね、現在の形になったのが4か月前。それから一度も、家族の条件を説明し直していません。
以前は献立を考えるたびに、「夫にはこの配慮が必要で、私は食事量を落としたくなくて、息子はこの食材が苦手で……」と、条件を頭の中で並べ直していました。
今は、一度整理した家族プロフィールとわが家の献立ルールを、次回も使える形で保存しています。
毎週伝えるのは、その週だけの変更点です。
今週は水曜日に外食します。
暑い日が続くので、火を長時間使う料理は少なめにしてください。
冷蔵庫に、さつまいもが3本残っています。
家族の基本情報を、毎週説明し直す必要はありません。
変わらない条件は保存し、変わった部分だけを伝える。
私がいちばんラクになったのは、この部分でした。
05 私の場合は、ここまでつなげています
ここから先は、私が試行錯誤してつくった完成形の一例です。最初から、同じところまで自動化する必要はありません。
現在は、Claudeを使って献立を整理し、毎週土曜日に翌週1週間分の献立と買い物リストがLINEへ届くようにしています。
買い物リストには、必要な量、家にある在庫、今週は買わなくてよいもの、誰のために使う食材か、残っている食材を何曜日の何に使うかまでまとめられています。
毎朝8時には、その日の天気と朝・昼・夜の食事、必要な食材、簡単な手順、家族ごとの味付けまで整理されたメッセージが届きます。
以前は朝になると、天気予報を開き、献立表を確認し、レシピを探し、冷蔵庫にあるものを思い出していました。今は、考え始める前に、今日必要な情報が揃っています。
私がやめたのは、献立を考えることだけではありません。必要な情報を、自分から探しに行くことでした。
でも、この記事でいちばん伝えたいのは、この自動化部分ではありません。
家族の条件を一度整理して保存し、翌週からは変更点だけを伝える。まずは、ここまでで十分です。
スマートフォンやパソコンのメモに家族プロフィールの原本を残し、新しい会話の最初に貼り付ける方法でも始められます。
体格や健康面の情報を扱う場合も、氏名、住所、受診先など、献立作りに必要のない個人情報まで入力する必要はありません。
仕組みの中身をどう組んだかは、献立を支える「ひとつの原本」の記事に分けて書きました。この記事は、その手前までです。
「便利なプロンプト」より、「繰り返さない仕組み」
AIを使っていると、便利なプロンプトをたくさん集めたくなることがあります。
毎回うまく質問することより、そもそも毎回質問しなくて済む仕組みをつくる方がラク。
献立も同じでした。
毎週、「何を作ろう?」から始めるのではなく、一度だけ、「わが家は、何を基準に献立を決めるのか?」を整理しておく。
するとAIは、単発で答えを出すだけの道具ではなく、すでに決めた判断基準を使い、暮らしの下準備をしてくれる存在になります。
体調も予定も、冷蔵庫の中身も、その週によって変わります。だから私は、AIに生活を丸投げするのではありません。
繰り返し考えなくてよい部分だけを、仕組みにしています。
食事作りだけでぐったりしていたころ、私を疲れさせていたのは、料理の手間だけではありませんでした。一日中、頭の中に残っていた小さな判断でした。
一度考えて、次から考えなくてよい場所を増やす。
その分だけ、料理そのものや家族との時間、そして自分が本当に考えたいことに、少しずつ余白が戻ってきました。
AIは、そのための静かな道具のひとつだと思っています。
